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フットワークにおける高度な話

フットワークとトレーニングの話をスポーツ科学の観点からお話していただいてます。

[1480] RE:フットワーク Name:通りすがり MAIL Date:2008/05/24(土) 04:16
テニスの動作は八方向全てにおいて行います。そしてコートの大きさからして長い距離は走りません。つまり100M走の速さ(直線的な走動作)だけがフットワークスピードを限定するのではないという事を見た事があるかもしれません。テニスの場合、必要なのはフィジカル、スタート能力、加速能力、切り替えし能力、スピード持久力、反応速度、予測、戦術的な理解等が総合的なフットワーク向上の為に必要になってきます。

少し専門的な話になってしまいますが、何かしらのヒントになればよいかと思い筆を取りましたので参考にして下さい。詳しく書けば幾らでも書けますが、キーワードが挙げられていると思うのそこから個人で調べていった方が実用的であると思われるのでみなまで書きません。

動作効率としては
・パワーポジションを維持する事
・ドロップステップを使う事(ストップする時、もしくは動き出す時に進行方向とは逆に一歩を踏み出すフットワークの事です。理解するには例えばプロのバックハンド(右利き)を打球した後の左足を見てください。左側に回している事が解ると思います。それを切っ掛けに次の動作に移っています)
・ストップ動作(ストロークに入る直前の脚の形)の時に重心を低くする(止まりやすくなり、バランスを崩し難くなります。それには脚幅を広げ、膝よりもつま先を出さない様にする。因みに力の入り易い膝の角度はストロークやサーブ等の場合135度が望ましいという研究報告があります。試しにクレーでのプロの脚の形を研究してみて下さい)
・切り返しにクレー等の滑り易い状況下では場合によりけりですが、一歩目をクロスオーバーステップで行う事
・基本的に両脚の中心下に重心を置く事(脚よりも頭が外に出るとバランスが崩れやすいので。どうしようもない状態ではせめて頭だけは起こすようにする。人の目は首を斜めにしても真っ直ぐに見える事から三半規管が情報を補正しています。斜めの情報と起っている状態では後者の方が正しい情報を認識し易い事が理由です)
・色々な打球時のプロのステップを学ぶ事(世界的なフットワークトレーニングのコーチにはパット・エッチェンベリーやビンス・バークレー等がいます。色々研究していくとどれだけ自分のフットワークがプロと違っていたのか気付きますよ)

・効率の良い走動作・ストップ動作を学ぶ(スタートにおいての発射角度・ランニングフォーム・トリプルエクステンション、トリプルフレクション)

・タイムプログラムの向上

筋力的要素としては
・ウェイトトレーニングで筋肥大を促し、基礎的筋力を増大させ、プライオメトリクスを行う為の素地を作る
・パワートレーニング(30〜60%重量での全速トレーニング)
・プライオメトリクスで競技用の筋力に仕立てる(バウンディング・アレイジャンプ・メディシンボールを使った複数のエクササイズ等)
・SAQで脚の回転速度や神経の伝達を高める(ラダーやミニハードル他)
・オーバースピードトレーニングで筋の遅延効果現象を狙う
・スタビライゼーションでバランス能力を向上させる
・ピリオダイゼーションを考慮に入れる
・栄養学を学ぶ

反応速度を高める
・壁に対面して立ち、後方から第三者にボールを打ってもらいそれに反応する(打球したり、止めたり)(予測の無い反応速度)
・サービスラインから回転系のサーブを打ってもらいリターンを行ったり、ある程度(危険なので個人の力量による)の速度で打たれたサーブをネット付近でボレーする(予測の伴った反応速度)

予測的な要素
・戦術の理解(相手が打つコースをこちらのショットで限定させたり、セオリー的な予測他)
・パターン(セオリーを知っていれば予測も成り立つし、良いポジションを取れる事から反応やプレイスピードが向上する)
・相手フォームからコースの予測(相手のグリップやフォーム、技術の甲乙及び癖、どのポイントなのか他)


走り書きで理解し難いものがあるかもしれませんが重要なのは大体この様な事柄です。総合的にやっていけば必ずフットワークは向上する筈です。

それには自分の「ニーズ」を知る事です。「何故自分は遅いのか」(フォーム的欠陥か・筋力不足か・競技用の筋力に変換出来ていないのか・予測なのか・動作効率が悪いのか・反応時間が悪いのか・神経の伝達の速さの問題なのか等色々あると思います)を適切に考察して、そこから上記のヒントを元に、研究と実践を重ねていけば必ず結果は出ると思いますので是非、頑張ってください

[1481] トレーニングについて Name:通りすがり Date:2008/05/24(土) 23:28
直接のパフォーマンスには繋がり難いです。ここにトレーニングをやっても中々結果が出ないと言われる人の原因があります。そこで競技用の筋力に変える為に、上記の目標値くらい(あくまでも理論値ですので身体が耐えうると考えれば行って構いません)に達したら、ジャンプやメディシンボールを使ったプライオメトリクスというトレーニングで筋肉の弾性や、パワーを高めれば結果が伴ってきます。

又、テニスの様な腕を振るスポーツにおいて、慣性モーメント(腕の振りやすさ、振り難さ)・脚の場合は回転が遅くなるという観点から、四肢の末端は重くしたくありませんので、前腕や下肢(ふくらはぎ)等はウェイトトレーニングで太くするというよりもプライオメトリクスで対応する事が多いです。つまりくせっ毛さんの言う様にバランスの問題です。可動域が狭くなるほど筋力をつけるのも本末転倒ですし、余計にエネルギーを消費してバテ易くなります。

又、脚を速くするトレーニングの仕方でよく挙げられるのは、股関節伸展筋としてのハムストリング(大腿二頭筋)のトレーニングです。腿の前の筋肉(大腿四頭筋)は基本的にストップ動作としての役割が多いのです。走る動作に関与するのは伸展筋としてのハムストリングや臀筋が大きく関与しています。トレーニング種目としましては股関節伸展型スクワット(膝をなるべくつま先よりも前に出さない、臀部を後ろに下ろしていく形のスクワット)、スティッフレッグド・デッドリフト(膝をあまり曲げない、角度を固定したデッド)が挙げられます。伸展筋としてのハムストリングだけではなく屈曲筋としてのハムストリングも鍛える必要がありますので、レッグカールも勿論行います。

左右に振られてどんどん追いつけなくなって>>という事に関しては切り替えしでバランスが崩れている事も一因にあるでしょう。身体の安定性(バランス)を向上させるには腹横筋や股関節の筋肉群を鍛えると良いでしょう。サイド・ベントというトレーニングやスタビライゼーショントレーニングの中から数個選んで行うと良いでしょう。Andy Murrayもスタビライゼーションを行っていますので、彼のHPにとんで動画がUPされている所があるので参考にしてみて下さい。
くせっ毛さんの言う様に、戦術的・予測的な要素もとても大事ですし、かなり重要な点について指摘してくれています。相手に打つコースを限定させる事や攻撃されないようにスライス及び、深く高いボールで後ろに押し込む事も重要ですよね。

又、ご自分でも言われている様にバックハンド自体の技術にも問題があるのかもしれません。振り遅れから切り返せなくなってくるというのであれば、テイクバックが遅い事が関係します。テイクバックを早くしろという意見が多いですが、それだけだと脳は混乱したままなので上手く働いてくれません。「バウンドする何メートル手前でテイクバックを完了させる」と具体的に決めれば振り遅れやミスは激減する筈です。又、予測のタイミングも早めていくと良いと思います。自分コートにバウンドしてから判断する人よりも、相手コートにボールがあるうちに判断して準備をする人とでは後者の方が時間的余裕や使える戦術も増えますよね。実際上手く打てていない人や追いつけていてもミスをするという方はテイクバックをバウンドしてから始めて、焦って普段通りのフォームが出来なくてミスをするという人が多いです。

テニスに特化したトレーニングは大体こんな感じになりますので検討してみてはいかがでしょうか。内容も難しい事もありますが、必要があれば説明もしますし、ご自分で調べていくのも面白いと思いますよ。頑張ってください!

[1482] 長文だからか途中で切れましたので上の文を追加です。 Name:通りすがり Date:2008/05/24(土) 23:30
長文ですので、時間がある時にでも読んで下さい。
貴方が高校生以上であるならば、第二次成長も終わっている筈なので、上半身も下半身もトレーニングするべきです。(中学生程度までは障害や成長の阻害の危険性があるので強度なトレーニングは普通行いません)トッププロでウェイトを行わない人は殆どいません。東レでは東京体育館のトレーニングルームにヒンギスやダベンポートが来ているのを実際に見た事もあります。実際、アガシやナダルを相当時間を割くようですし、松井はベンチプレスで120kg程挙げるそうです。筋力がないと出来ない動作もありますし、技術だけを磨いても頭打ちになり、競技力は向上しません。

上半身に筋力をつけるとアウトするという問題に関してはスピン量を変えて調節します。グリップを厚めにしたり、ヘッドを下げたり、スイング軌道を変えたりという事等色々あると思いますが、それらで対応します。

トレーニングの目標値としては競技として考えられるのであればスクワット(パラレル)は体重の1.5倍、ベンチプレスは体重の1倍、パワークリーンは0.8倍程度は最低限必要です。(初期目標値)

フリーウェイトトレーニング(バーベルやダンベル)ではベンチプレス、スクワット、デッドリフトはアスリートとして必須。スクワットは膝を曲げる角度で鍛えられる筋肉が変わります。テニスに特化した角度はクォーター(135度程度)、ハーフ(90度)、パラレル(地面と平行)です。私はフル(完全にしゃがむ)迄、行いますが、筋肉を太くしやすい事を除けば、慣れていない方がやりますと、膝を痛めやすいので、その角度迄は行う必要はありません。
補強としてフロントランジ、サイドランジは確実に必須(テニスの動作に多い動作だからです)マルチアングルランジ(八方向の任意の方向にランジをする)も必要に応じて。
他には肩のトレーニングとしてはバックプレス、サイドレイズ、フロントレイズ、リアレイズの中から1、2種目を選択
腹筋はインクラインベンチでのウェイトを持ってのシットアップ、バーツイスト(バーベルを持って身体を捻る)、サイドベントを全て
腕はアームカール、トライセプスプッシュダウン、キックバック、リストカール、リバースカール等が良いでしょうし、私自身も行っています。

フリーウェイトで追い込んでから、マシンで更に追い込みます。レッグエクステンション、レッグカール、カーフレイズ、ラットプルダウン、チェストプレスやリアデルト等が良いでしょう。

試合があまり多くないのであればそれらを8〜10回しか出来ない重量を使用して3〜5SET、休憩60〜90秒で一つの種目を行います。スパンとしては三週間。そこからは1回しか挙げられない重量の30〜60%の重量を使い、全速で10秒なり10回で3SETづつ行う事で筋肉自体のパワーをつけたり、3〜5回しか挙げられない重量を使って3SET、休憩時間は2分程度で最大筋力を伸ばします。そういった事の繰り返しで身体を作っていきます。

ウェイトトレーニングは低速の動作と言えるので、スポーツでは速度の速い動作である為、直接のパフォーマンスには繋がり難いです。

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