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初心者のためのシングルス
初心者、主にテニス歴1〜3年程度の草トーナメントに出始めた方を対象とします。シングルスは技術差が挽回しにくい種目だと書きましたが、初心者の段階では多くの人が戦略を十分練ることが出来ていない為、逆転の余地は十分あります
私は、初心者の人にシングルスを教える機会が多くありました。教えていく段階で、初心者の試合パターンに共通する要素があることに気づき、それに対応する作戦をとることで勝利に近づくと考えました。

初心者VS初心者もしくは、初心者VS中級者という図式の中で、初心者の方は、
@.どのような戦略をとればいいのか、ということを述べた後、
A.それを実行する為の練習法を解説していきます。

総論

・基本方針
@ 出来ることのみを試合に出す練習を試合につなげる
A 相手の心境の変化を先読みし、一歩先を行く戦略をとる→試合を三つのパートに区切り、その時に応じた戦略を実行していきます。

試合を通じて常に、ステイバック、相手を前後に揺さぶるという戦法をとります。初心者の段階ではボレーよりもストロークが安定しているからです。

では、第1段階から順に解説していきます。


第1段階(試合序盤)・相手に勢いがある状態

相手の状況
相手は最初、実力以上のものを出そうとしてきます。ストロークもサービスも非常に速く、セカンドサーブもかなり思い切って打ってきます。そして、ネットにも良く出てきます。


対策
この最初が一番の難関です。速い球に振り回されて、それに対応できないと一気に畳み掛けられます。ここでは、拾うこととミスをせずに返球することを第一に考えます。私達はネットにも出ないようにします。浅い球は返球してベースラインに戻ります。これは、ネットミスによる失点を防ぐ為です。一度ゆっくり返球してベースラインに戻ることで、私達がミスをする確率が減り、相手がミスをする確率が上がります。

また、相手がネットに出てきた場合は全てロブでいいのでネットの上に打ち上げます。これは、別ページでもお話ししました「複数の選択肢」という概念に反するかと思いますが、試合序盤は相手の球が速いためこれでいいのです。無理なパスはミスを多くするだけです。スマッシュというのは十分な体勢で入っても決められない人が多く、高いロブは、初めのうちは大変有効な手段です。

前述の通り、試合序盤の相手選手の球というのは本人の実力以上のものであることが多いです。ということは、何回も打っていればかなりの確率でミスをします。ダブルフォルトも多いです。

もう一つ。私達はファーストサーブは緩く確実に入れ、セカンドサーブは初めからアンダーサーブで打ちます。かなり意外に思う方もいることでしょう。これは、ダブルフォルトのリスクを0とし、相手のミスを誘発するという役割を担っています。

私がシングルスを教えていて、または試合をしていてもったいないなと思うことはダブルフォルトです。だって、こちらが何もしなくても点を貰えるわけですから、こんな楽なことはありません。中には試合の中で5〜10回もダブルフォルトをする人もいます。だったら※アンダーサーブを打って、その10失点を防げばいい訳です。簡単ですよね。しかも、アンダーサーブに関しては相手がかなり強気に出てくるため、リターンミスや前に詰めてきてのネットプレイミスで十分稼がせてもらえます。当然、リターンエースを取られる事もありますが、これは、自分のダブルフォルトが0になったことや、相手のミスにより、それ以上のポイントが得られることを考慮すると全く問題ないことです

試合前半の得点方法
1.相手のハードヒットによるストロークミス
2.アンダーサーブを打ち込んでのミス
3.ロブを上げてのネットプレイによるミス
4.相手のダブルフォルト

※ちなみに、私が一番やってはいけないことと伝えてきたことは「試合の途中からアンダーサーブに変えること」です。これは大方、上から打つサーブが入らないからということなのですが、そのようなことは試合を始める前から把握していなければいけないことです。試合開始時点からアンダーサーブで打っていればそれまでの失点は防げたはずです。ですので、これほど勝利から自分を遠ざけてしまうなことは無いと思っています。


第2段階(試合中盤)

さて、勢いのある前半を凌ぎきりました。ここまで来ればかなり勝利に近づきます。

相手の状況
前半で必死に拾った結果、相手はミスを多発し多くのポイントを失っていることでしょう。そしてそのことが相手に、もう少しスピードを落として打たないとミスをして負けてしまうと気づかせます。こうなるとラリーのスピードは落ち、前半よりも組みやすくなりますが、相手のミスは格段に減る為、ミス待ち作戦だけではうまくいきません


対策
ラリーの中でのストロークミスへの期待を捨てましょう。ここからは、ドロップショットで相手を前に出して、ロブかパスを打ちます。これは、私達がステイバックを維持し、相手を揺さぶることが出来る方法です。前半では相手のボールに勢いがあったため、うかつに浅いボールは出せませんでしたが、この辺りになってくると作戦の型にはめれるだけのスピードに落ちます。ロブだけでなくパスを打つ余裕も出てきます。

ドロップは、相手が拾えないような浅いボールは打ってはいけません。もちろん、そのショット自体はいいのですが、そのショットの裏には数多くのミスが生まれます。それは何としても避けたい所です。相手にわざと打たせるようなボールでいいのです。

このパターンで相当な点を稼ぐことが出来ます。うまくいけばこのまま勝利に持っていけます。

多くの試合では、初めの「打ち込みVSシコリ」という図式は見られますが、この中盤になったときに両者とも決めてに欠け、長いラリーでポイントが停滞してしまいます。こうなることを予測し、それに対応する作戦をとることで勝利に近づくことが出来ます。

また、中盤で1〜3ポイントをサーブでとりたいところです。今まで、ファーストサーブは緩く入れてきました。ここで、全力でフラットサーブを打ったらどうなるでしょう?。入ったら相手はなかなか対応できないと思います。「緩いサーブがくる」と思っている相手には効果覿面です。しかし、そんな速いサーブをいきなり打ってもなかなか入らないですよね。ですので、たまーに打って1ポイント取れればいいやという気持ちで打ちましょう。場面は、30−40などで、相手のポイント&あと一ポイントで平行カウントになる時が一番いいと思います。ダブルフォルトは無いので思い切っていきましょう。

中盤のまとめ
・ラリーのミスでのポイントを計算に入れない
・ドロップショットからのロブとパス
・たまに速いサーブを打って得点


第3段階(試合終盤)

場合によってはここまで行かずとも試合が終わってしまいます。ここまでくるということは、よほど実力が拮抗していて、機転の利く対戦相手だと言えます。具体的には、ドロップショットからの展開を封じられることでこの第3段階までもつれ込みます。


相手の状況
ドロップショットの展開に対して対策をとってきます。その方法は2つです。1つは、ドロップショットを打たれてもしつこくステイバックする。もう一つは、ドロップショットをドロップショットで返すことです。要するに、パスかロブを打たれての失点を無くそうとするのです。初心者の段階では、前者:後者=8:2ぐらいの割合です。よって、相手のしつこいステイバックにどう対処するかがポイントです。これはなかなか難しい課題ですが、予めそうなることは分かっていますので戦略を考えていきましょう。

戦略第2段階で述べましたが、相手がミスを警戒してずっとステイバックしている状況では、ポイントを奪うのが非常に難しいです。この段階では2つの方法を用いてポイントを奪っていきます。

1.連続ドロップ
→相手がステイバックしようとするのをまた前に出します。ドロップを連続で打つのは普段ならば危険なことですが、相手が後ろに下がろうとするときに打つドロップは大変有効です

2.相手のバックにボールを入れて前へ
→ネットプレイを取り入れた唯一の戦略です。この段階に来る頃には相手のボールは相当弱っており、ポイントを決めるのには高度な技術は必要としません。バックに入れてフォアに叩き付けると決めていきましょう。また、これはプレッシャーをかけて、その後のラリーを有利に進める役割もあります。


ドロップをドロップで返された場合
初心者の試合では少ないです。なぜなら、浅く丁寧に返すには絶妙な面のタッチが必要だからです。これをやってくる相手は初心者ではなくかなりうまいと言えます。対策としてはどんなボールにでもダッシュして喰らい付き、相手に「もっと浅く返さないととられてしまう」と思わせることです。この作戦でミスを誘発させましょう。


第3段階・まとめ
・連続ドロップ
・バックにアプローチ
・ボールに喰らい付く
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